「え、大麻?」と当惑される方も多いと思います。

大麻とは「麻」「ヘンプ」などの別称を持つ、アサ科の一年草です。「違法な薬物」として認識されることが多いこの植物ですが、日本では縄文時代の遺跡から大麻の種が見つかるなど、古来より生活に親しまれ、繊維を衣服や縄・釣糸・漁網に、種を食料に、茎を建材に、葉や根を薬用にと幅広い用途で利用してきました。主要な作物であった名残は、「麻」と名がつく多くの地名や人名にも残されています。また、神道の世界では、その繊維を清めの道具として用い、伊勢神宮のお札は現在も「神宮大麻」と呼ばれるなど、日本の伝統文化・生活文化と非常に密接な関わりを持つ「農作物」でした。

しかし、工業化の波に乗り遅れたことや、法律の影響、違法な薬物というイメージの固定化により、その価値や有用性は忘れ去られ、1950年には国内に約25.000件あった大麻農家が、現在は約40件にまで減少しています。

栃木は大麻の品種「とちぎしろ」の栽培を現在も続けており、国内生産の約90%を占める大麻の一大産地です。私たちは2001年の開館以来、栃木が、そして日本が誇るべき農作物「大麻」に関する様々な情報を発信しています。